「京都橘大学 安土未来づくり
応援プロジェクト」について
■ プロジェクトの目的
木下が担当してきた「文化資源デザイン論」の授業においては、これまで地域と連携し数多くの試行錯誤を続けてきました。具体的には、座学を基本とはしつつも、最終的に学生が地域に入ってその実態について五感を通じて観察し、既存のメディア情報などでは得られない情報や魅力を自ら発見し、地域に還元していくというプロジェクト型の授業形態をとってきました。これまで、2012年から学期の中盤では滋賀県守山市と連携している文化政策事業である「ルシオール・アート・キッズ・フェスティバル」の事業運営改善の協力を継続的に行ってきているほか、2015年からは和歌山県那智勝浦町に赴き地域診断と改善提案の実施をしてきました。その延長で那智勝浦町と当大学は地域包括協定を締結するに至っています。
和歌山では一定の課題抽出を行えたことで一区切りとし、2021年度からは木下が地域支援で関係している滋賀県近江八幡市をフィールド対象としていくこととしました。教員自身が滋賀県の文化政策事業の一環として、かなり以前から安土城を再建するプロジェクトや同地区にある安土城考古博物館と関係をもっていたという経緯があります。近江八幡や安土は、全国的に認知度のある地域ではあるものの、一方で多くの課題を抱えている現状を目にしてきました。とくに安土町は、かつては「安土桃山時代」といわれたように国の政治的中心でありましたが、織田信長が本能寺で殺されて後、地域の役割が現在の近江八幡市の八幡堀周辺に移ることになり、その後そちらが繁栄し現在に至ります。その八幡も、中心資源となる八幡堀が一時埋め立ての危機に瀕し、その後まちづくり運動等により現在は観光スポットにまで発展したものの、強い発信力があるとはいえません。その後、2010年に安土町は近江八幡市と合併しますが、地域の活力が十分発揮できていない状態です。安土城も焼けてから再建できずに今に至っており、歴史好きや城郭好きでない限り訪れる学生も多くはありません。
そうした課題を学生の目で捉え、本事業は地域の資源を見つめ直しながら課題解決の方法を多様に検討していくプロジェクトにしてくこととしています。基本的には、「文化資源デザイン論」(2022年度からは、名称が「公共マーケティング」に変更)の授業を中核としながら、数年単位で関連する活動の集約をこのサイトで行っていく予定です。また、授業プログラムを超えて、可能な範囲で地域協力を行っていくことも念頭においています。原則、「安土未来づくり課」の協力をしていくという意味合いを込めて、事業名を「京都橘大学 安土未来づくり応援プロジェクト」としました。2026年には安土城築城450年を迎えることとなり、滋賀県としても安土で何らかの記念事業が開催される可能性があり、本プロジェクトを通じて少しでも未来を担う若者の意見を反映することができればと考えています。
2021年7月10日
プロジェクトディレクター
木下達文(KINOSHITA, Tatsufumi)
京都橘大学・経営学部経営学科教授
プロジェクトアドバイザー
川嶋嘉治(YOSHIHARU, Kawashima)
元近江八幡市・安土未来づくり課課長
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